【コラム】コンビニを拠点としたシニアへのアプローチ

現状の立地条件を活かしたサービス

コンビニが出来始めた当初は、人通りの多い市街地を中心とした出店と配送効率を高めるためドミナント戦略がとられてきた。その後、図書館、郵便局、学校などの公共性の高い施設や居住者の多い高層マンション内にも出店されている。近年では、住宅地(第1種低層住居専用地域を除く)への出店も進められて来ている。
また、O2Oマーケティング(ネットとリアル店舗の相互貢献)の取り組みとしては、モバイルを活用して自社サイトやソーシャルメディア上ででクーポンを発行してリアルな店舗で利用して頂く、店舗内で利用できるwifiによりオリジナルコンテンツを配信するなどにより成果を上げ始めている。

食事お届けサービス等も開始されているがここでは、住宅地に出店されたコンビニを起点としてアナログな方法も取り入れたシニア層によるコンビニの活性化を考えてみる。

生活者の心をつかむ

一般的にコンビニの商圏は半径500m以内、商圏人口は3000人程度と言われている。住宅地においてもこの数値を当てはめたとしても、生活者の様相は大きく異なってくる。例えば下記のようなことに心当たりはないだろうか。
・自由な時間を持てる生活者が多い
古くからその地域に居住してしてる生活者は、定年退職をむかえた方などは仕事などから拘束されることがなくなり、自由な時間が持てて、いつでも、どこへでも外出は自由。
・顔見知りが比較的多い
永年住んでいると、何人かは顔見知りがいて日頃の挨拶や世間話をする機会がある。アルバイト・パートもわざわざ交通機関を乗り継いで勤務している率は低く、大抵は商圏内にするんでいる事が多い。いわば、売り手も買い手も同じ生活圏内にいる。
・イベントを共有
正月になれば近くの寺・神社への参拝、祭りを見に行くなど生活圏にある施設、イベントに一度は行ったり参加したことがある。

コンビニをコミュニティの場に
行政が行っている地域コミュニティセンター等もあるが、コンビニ内にもイートインコーナー等を設置して地域の人が気軽に利用できるようにしてはどうだろうか?大抵日中のコンビニは比較的混雑していない。
利用者も従業員もご近所の人となれば、単にマニュアルに記載された接客方法以外でもコミュニケイーションが図れるのではないだろうか。

イベントの起点として
家庭でテレビを見ていても健康に関する食品通販が多く流され購入されている。歳を重ねるほど日頃の健康にいっそう気を付けるようになるが、食生活と同時に適度な運動も欠かせない。
そこで、「散歩」をキーワードとしてコンビニを活用することは出来ないだろうか。
夏休みなどで子供を対象としてキャラクターとタイアップしたスタンプラリーのイベントがあったが、シニア層向けのイベントとした場合、例えば店内にコンビニを起点として、1万歩で回れる範囲で永く住んでいてもあまり知られていない名所や休憩が取れるコンビニの位置が記載されている地図をプリントアウトして置いておく。行った先々のコンビニで地図上にスタンプを押してくる。一定のスタンプが押されたら起点となったコンビニに持って行くと景品、くじがひける等を用意しておく。大抵起点とすコンビニは、いつも利用する所を選ぶと思われるので顧客との接点が持てる。

まとめ
近頃はスマホやタブレットなどのモバイルデバイスを活用して、購入単価UP、来店頻度向上、顧客接点の増加等が注目されているが、居住する生活圏という狭い範囲においてアナログ的であってもコンビニの活用は考えられる。
顧客にとってコンビニは商品購入の場としてだけではなく、共感、共有の場としての余地が持てる所であろう。

フィルゲート 菊原 政信