第47回:これからのホスピタリティを考える

はじめに、能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます

 

一般的にホスピタリティの意味は、東京オリンピック招致の際に注目された「お・も・て・な・し」の意味で使われていますが、その他、心からの「思いやり」などの意味を含めて様々な分野、環境でも使用されるようになりました。コロナ禍を乗り越えて、インバウンド観光客も増えて来年は大阪万博が開催されることから、更に海外からの観光客が増加することが見込まれます。ホスピタリティは、今後お客様に対してのみならずあらゆる人との繋がりを強くする重要なこととなります。今回は、これからのホスピタリティについて述べていきます。

 

小売・サービス業におけるホスピタリティ

 

小売業やサービス業におけるホスピタリティ(おもてなしの心)は、顧客体験を向上させ、顧客満足度を高めるために非常に重要です。お客様に対して直接対面するスタッフのみならず、電話対応、その他、間接業務に携わる社員含めて親しみやすく、礼儀の正しさ、コミュニケーションは積極的かつ効果的であるべきで、質問に対して適切かつ迅速な対応が期待されます。

それには、商品やサービスに関する十分な知識を持っている必要があり、これにより顧客が求める情報や助言を提供します。更に顧客の好みや購買履歴を把握し、それに基づいて個別のサービスを提供することが求められます。顧客の要望や問題に対して柔軟かつ迅速に対応し、解決策を提供することが期待されます。店舗や施設においては、清潔で整然としており、顧客が快適に過ごせるように工夫されていることも大切です。顧客に感謝の意を示すことを常に念頭に置き、割引、特典、または感謝の言葉を通じて顧客にリピーターとして戻ってもらう工夫が求められます。小売業においては、店舗のみならずオンラインショッピングやソーシャルメディアを通じても、ホスピタリティを提供する努力が必要です。それには適切なオンラインサポートやフィードバックへの対応が含まれます。

最近では、今後の人材不足を補うため飲食業では配膳ロボットの導入や、注文時にタブレット、スマホを活用して顧客が自らオーダーする取り組みなども進められていますが、機器では補えない情報の提供や要望等についても、対面での対応の他、リモート接客を導入するなどの対応も検討する必要があるでしょう。来年2025年開催の大阪万博に備えて、京阪ホールディングスでは海外からの観光客に対して、多言語でアバターによる万博パビリオン情報、大阪の観光情報、水上バスの運行情報に対しての案内・質問や要望に対応する仕組みの導入なども進められています。

インバウンド需要 筆者撮影       京阪ホールディングス ニュースリリースより

 

製造業におけるホスピタリティ

 

製造業においても、ホスピタリティは重要な要素となり、製造業の特性によりアプローチが一部異なることがありますが重要な側面があります。製造業は、製品の品質と信頼性を重視することにより顧客が製品に信頼を寄せ、安心して使用できるような品質管理が不可欠です。不具合が発生した場合には、素早い対応と修理サービスが期待されます。製品の正しい使用法や保守方法について顧客を教育し、サポートを提供することも求められます。それには、顧客が製品を最大限に活用できるような情報を提供し、カスタマイズされた製品の提供が求められる場合は、顧客の要望に柔軟に対応し、特定のニーズに合わせた製品を提供できる体制が必要です。サービス面でも顧客との効果的なコミュニケーションを重視し、製品の進捗状況や納期に関する情報提供、問い合わせへの迅速な回答が顧客満足度に寄与します。技術や市場の変化に迅速に対応し、継続的な製品改善やイノベーションを行うことが求められ、顧客に対して最新の技術や機能を提供することが、競争力を維持するうえで必要です。現代の顧客は環境への影響に敏感であり、製造業者は環境への配慮や持続可能性に焦点を当て、エコフレンドリーな製品や製造プロセスの採用が求められます。昨今問題となっているデータの捏造などは、顧客のみならず協力関係にある企業などに対しての背信行為とみなされ、その結果、信用回復に相当な時間と労力を要することになります。このように、これらの側面を組み合わせることで製造業者は顧客との信頼関係を築き、製品だけでなく、全体の顧客体験に価値を提供できるようになります。

 

災害に対するホスピタリティ

 

この度の能登半島地震においては、かけがえの無い人命を失い、家屋やインフラの崩壊により避難所生活を余儀なくされるいる方々の心中を察するとやりきれない思いになります。災害後、速やかに被災者に対する支援や応急処置を行うことが求められ、医療、食料、避難場所などの基本的なニーズに迅速に対応することが重要ですが、同時に被災者とその家族に対して、状況の進捗や安全情報などを透明かつ明確に提供し、適切なコミュニケーションにより、被災者が安心して協力できる環境を構築します。また、ここでも被災者への人間的な接触や心遣いが、ホスピタリティの要素となります。励ましの言葉や手助けを通じて、被災者に寄り添う姿勢が求められます。災害で深刻な状況に陥った被災者の方たちのプライバシーと尊厳を尊重することも大切で、安全な場所を提供し、被災者の個々のニーズに敏感に対応していく必要があります。特に災害により精神的な苦痛を受けた被災者の方々に対して、心理的なサポートを提供することも大切で、カウンセリングや心理支援を通じて、被災者の心のケアに配慮します。ボランティア団体や地域社会と連携し、協力して支援体制の構築や地域の資源を有効活用し、連携によって支援の幅を広げます。今後の災害復興のプロセスにおいても、被災者の方々が地域社会とともに参加できるようなサポート体制や住宅再建や雇用機会の提供など、復興計画を積極的にサポートすることも重要な課題です。

 

ホスピタリティは日本が世界に誇れるマインド

 

冒頭にも述べましたがホスピタリティの意味は、心からの「思いやり」も含みます。いかなる環境、状況においても相手を気遣い尊重すること、我々日本人が世界に誇れるマインドであり、そのことを世界中から訪れる観光客は敏感に感じ、尊敬されいるのだと思います。今後グローバルな日本を目指す上で必要なことでもありますが、日頃から、社内、社外を問わず心がけていきたいものです。

フィルゲート株式会社 代表取締役 菊原政信