第4回:現役大学生によるInstagramを活用したブランド認知とコマースの実例

今後、小売流通業の在り方も大きく変化して行きます。とりわけインターネットを活用することが当たり前となった時代に生まれたデジタルネイティブなZ世代(1990年後半から2000年生)にとっては、スマートフォンを起点として様々な情報を収集、発信しています。

そこで、今回は私がプロデュースして進めている「現役大学生を活用したアクションプログラム」の実例として、2019年1月~2020年6月まで青山学院大学経営学部の学生と7&iホールディングスとの共同研究プロジェクトとして取り組んできたインターネットショッピングサイト「オムニ7」の公式Instagramアカウントについて取り上げます。

アルバイト・インターンシップを超えた第3の取り組み

「現役大学生参加のアクションプログラム」とは、大学在学中より学んだことを現実の社会活動や仕事への取組みを実際に経験することにより、社会に出た際に役立てること目的とした実践的なプログラムです。企画の立案、プレゼンテーション、実施、分析検証の一連の工程を企業と共に行っています。企業に対しては、学生の新鮮な視点や発想を直接受け取ることができ、イメージやブランドの周知、需要創出、将来の人材採用での活用というメリットを提供しています。今回取り上げる大学生と7&iホールディングスとの取り組みにおいては、「オムニ7」のZ世代への認知を高め購買に結びつけることを目的に進めてきました。

日本でのインターネットの商業利用が始まってから既に25年以上が過ぎましたが。当時よりインターネットを活用したコミュニケーションの方法はe-メールが主流ですが、最近はSNSの普及が目覚ましく世代によってはSNSが主流となってきています。大学生に対するアンケート調査の結果を見ても、日頃活用しているコミュニケーション手段としてはSNSが多くを占めており、LINEは99%、Instagram84%、Twitter14%、その他2%となっています。更に使用頻度についてInstagramは、暇があれば常に使用55%、暇があれば時々使用39%、Twitterは、暇があれば常に使用13%、暇があれば時々使用31%、Facebookは、全く使わない68%、通知が来て気になったら開く21%とSNSの種類によっても開きがあります。

特に商品を紹介する上では、インスタ映えと言われる通りZ世代での使用率の高いInstagramでの情報配信が有効であることから、「オムニ7」情報配信プラットフォームとしてこのSNSを採用しました。
コンセプトとしては、「こんなところにオムニ7」をテーマに普段学生生活を送る中で、プロジェクトに関わる学生達が他の学生に勧めたい商品を自ら選択して撮影し、普段の学生生活で思っていることや、なぜこの商品を勧めたいのかをコメントして投稿しています。それにより多くの学生の共感を呼び支持されてきました。

プロジェクトの企画は2019年1月から始め、同年7月にリリースしました。このプロジェクトを進めるにあたっては学生、企業双方にとって初めての試みであり、お互いの認識共有を図る為参加学生はゼミの一環として毎週学内で企画を練り、月に1度企業側に伺い企画をプレゼンテーションして内容を精査すると共に合意を得ながら進めてきました。その間の学生と企業とのコミュニケーション手段は主にLINEを活用し情報共有しながら進めてきました。
未体験な試みにおける困難の克服

イン上でやり取りをしながらプロジェクトを進めることが出来ると認識しました。

このプロジェクトでは、インターネット上での取り組みの他にリアルな場での試みも行われました。プロジェクトも中盤に差し掛かり、青山学院と7&iホールディングスのクループである株式会社ロフトの協力を得て青山キャンパス内においてイベントを開催し、女子学生に人気のあるコスメのサンプル配布と共にInstagramアカウントへの登録を促し、メイクアップアーティストによるタッチアップコーナーを設け、事前、時中、事後のアンケートの収集とその分析を行いました。キャンパス内と言う特殊な環境であった為、サンプルの袋を下げた学生達がリアルな状況で友人にイベントを口コミで伝えられることに加えて、サンプル商品や使用後の写真、コメントを各自のSNSで投稿、シェアをしたりとオンラインでもオフラインでも信頼できる友人からの勧めでは、十分訴求が図られることが実証されました。更にロフトで使用できるクーポンも同時配布することにより、実店舗への誘導も試みました。

「現役大学生参加のアクションプログラム」の再認識

 

これまで、学生達と様々なマーケティング活動や商品・サービス企画を手掛けてきましたが、今回のプロジェクトと通して、1年半の期間を掛けて学生と企業が共同で取り組むことにより、学生は実社会との繋がりを早く持つことで学問と実践の両輪を回すことができると共にその成果を卒業論文として発表する学生もいました。企業にとっては、本プロジェクトを通してネットとリアルを活用したプロモーションと購買に結び付く施策の実施と言う実メリットの他、学生の心理や行動変容を認識することにより、次世代を対象とした今後の商品やサービスの開発、これからの採用の在り方等変化対応を迫られた際の参考になりました。

今後、企業にとって規模を問わずオンラインの活用は必須であり、その活動が活発になると共にそれによりオフラインでのリアルな活動が引き立つ新たな時代への幕開けとなります。

「学生を活用したアクションプログラム」について、詳しくはフィルゲートのホームページをご覧ください。