【コラム】Webビジネス今昔(Web2.0と呼ばれてた時代)

昨今、facebook、twitter、google+などソーシャルメディアを利用する機会が増えてきたが、日本でのはじまりについて振り返ってみる。

今から8年前、次世代インターネット・ビジネスの代名詞として「Web2.0」と言う呼び方がされていた。それ以前を商用利用の場合、企業・専門家が、ユーザを囲い込むビジネスモデルを「Web1.0」として、企業や専門家だけでなくユーザー自らが情報を配信、参加を重視したモデルを「2.0」と位置づけた。
また、消費者が情報を配信していくことからブログなどがCGM(Consumer Generated Media)と言われていたのもこの頃。
当時、非営利団体EC研究会がまとめた「Web2.0ビジネスのしくみ」(あさ出版発行)によれば、次の5点がビジネスのポイントとなると記されている。

1.ユーザーの提供するコンテンツが決めてとなる
2.検索連動型広告市場が急成長する
3.ロングテールの商品群が注目される
4.ブログの商業的価値がさらに増大する
5.安心度の高いネット・コミュニティが求められる

【1.ユーザーの提供するコンテンツが決めてとなる】
ブログ、SNS等消費者自身が情報を配信する環境が整い、従来の企業側から情報ソースに加えて受けて側からも気軽にインターネット上で情報配信することが出来るようになり、サイト閲覧者にとっては企業側と消費者側の両方から情報を得ることにより価値判断を行えるようになった。

【2.検索連動型広告市場が急成長する】
WEBサイトの商業利用で大きな役割を果たす、検索エンジンgoogle、yahooで上位表示される為に企業ではSEO対策が施されると同時に、キーワード広告サービスや、個人のホームページやブログ向けの広告配信サービスでの評価が高まり全国の中小規模の企業、商店、飲食店、通販ショップなども手軽に広告掲載できるようになった。

【3.ロングテールの商品群が注目される】
大量に売れる商品だけではなく、少量しか売れない商品等を継続的に販売する戦略として「ロングテール」と言う概念が出てきた。幅広い商品の取り扱いにより、ニーズの低い商品であっても消費者にとっては購入する事ができるため、更にそのサイトで購入する機会が増えてくる。現在では中古品、オークションにより利便性を高めている。

【4.ブログの商業的価値がさらに増大する】
ブログソフトウェアのパイオニア「シックス・アパート」がソフトウェア「ムーバブル・タイプ(MT)」やブログASPサービス「タイプパッド」のサービスを提供し始めて、個人がWebの専門知識を持たなくても日記代わりにインターネット上で情報を公開する事が可能となった。国内では「ドリコム」が商用利用サービスを始め、「サイバーエージェント」の「アメーバブログ」の開設者が120万人を超えた時期でもある。

【5.安心度の高いネット・コミュニティが求められる】
SNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)が日本で展開され始めた時期でもある。ネット上のコミュニティの源流となったのは、86年~87年にかけてブームとなったパソコン通信であるが、当時日本のSNSの代表格であったミクシィが2004年に運営を開始し、06年に東証マザーズへの上場を果たし時価総額で2000億円(当時の米国ユーチューブの2倍)に達していた。
2006年にfacebook、twitterが米国で一般ユーザー向けにサービスを開始し、その後両者とも2008年より日本国内でサービスを開始した。

ざっと、8年前のネットビジネスの状況を伝えたが、現在ではスマートフォン、タブレットなどのデバイスやGPS、wifiなどのインフラの出現によって更に発展をたどっている。日本のネットビジネスの基点を1995年とした場合、5年周期でパラダイムシフトが起きており、その間登場するプレーヤーも入れ替わり業態展開もされてきた。これから2~3年後にも未だ見ぬ新たなサービスやプレーヤーが登場することだろう。

 
EC研究会著

フィルゲート 菊原 政信