【コラム】O2O/オムニチャンネル時代に求められるアナログ理解力

クリスマスが近づくにつれて商戦花盛りとなりました。
ECショップ、リアル店舗共にクリスマスに向けて様々な趣向を凝らした販売が進めれています。

日頃、EC/O2O/オムニチャンネルビジネスに携わり、つくづく感じることがあります。
それは、「アナログ」な感覚・感性を研ぎ澄ますことで、更に顧客との接点が設けられ再来店、再利用されるビジネスへと展開されることです。

ネットとリアルの程良い関係

スマートフォンやソ-シャルメディアの普及により、O2O(Online to Offline)/オムニ(多様化)チャンネルビジネスを本格的に展開される事業者が増えてきました。ネットでの利用者をリアルな店舗へ送客、オンラインとオフラインにまたがる購買をシステマティックに行い売上増加、顧客のロイヤリティを高める施策がとられています。

クーポンの発行やGPS/ジオフェンス機能(顧客が一定のエリア内にはいると自動的にプッシュメールを送る)を利用してリアルな店舗への誘導を促す等、人の手を介し無くとも事前の設定により効率的に顧客にアプローチすることができます。
事業者にとっては、この上なく便利な仕組みを使いこなせるようになりました。しかしながら、そのことに頼り過ぎかえってユーザの心理や感情がおざなりされているケースも見られます。
例えば、スパムとして捉えられかねないしつこいばかりのメールや、折角リアル店舗に来店されてもスタッフの理解不足やオペレーションの手際の悪さで、かえってマイナスのイメージを持たれてしまうなど。
利用されるお客様は気に入った商品の購入は当然ながら、それと同時に店舗の雰囲気、スタッフの対応などを敏感にとらえています。B to C市場が毎年右肩上がりに伸びていると言っても9兆円、リアル市場135兆円のごく一部にしか及びません。リアルなショップで商品を選びネットで購入する「ショールームング化」なども進むことが考えられ、最近でもZOZOTOWN(ネット)とパルコ(リアル)の協業などが取り上げられて、今後も様々な取り組みがなされていくと思います。とは言え依然ネットで調べ、リアル店舗で現物を手に取り購入する率が高く小売業全体としてのEC化率は10%に届きません。その間を緩やかに取り持つのがO2Oと考えます。

リアルな環境をもう一度見直そう

時代と共にコミュニケーション手段も変わってきました。電報なども今や冠婚葬祭と時くらいにしか利用されず、日頃の連絡はメールにとって変われました。1980年代までは、駅には必ず伝言板があり多くの人がそこに書き込みをして行き先や待ち合わせの情報を書きこんでいました。
リアルな店舗でも、自社は長年同じ地で商売をされていても周りの環境、人口、年齢層などは時代と共に変化して来ています。先日、100年以上の歴史を持つ老舗の和菓子屋の経営者とお話した際言われていたことは、基本的な味は変わって無いが、時代に合わせてお客様の好みを少しずつ取り入れ少しづつですが変えているとおっしゃっていました。100年以上の歴史感の中で「少しずつ」と言うのが凄く心に響きます。100年かけてとは言わず日頃の一日の中で改善すること、その積み重ねが一年後の差となって現れます。もうすぐ年も改まり今後、商売する上でも棚卸しの意味も込めて、商圏設定、品揃え、サービス、接客態度等一度「一日一改善」見直してみてはいかがでしょうか。

フィルゲート 菊原 政信